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2010年2月10日 (水)

道を切り拓く男の話

 
 
 

なぜこんなにもジリジリさせるのだろう。

読み進めて行くごとにそう思った。

SFマガジン初代編集長にして日本SFの立役者、
福島正実氏のSF開拓史(と言っても間違いではないだろう)。
正にSF未踏の地であった60年代にSFを広げ、
そして根付かせようとした男のたった8年間の記録。

今年36になる自分にとっては地続きに感じるけれど
全ての過去と同じ過去であるSFの夜が未だ明けぬ時代。
今は雲の上の存在のような作家たちの当時の様子なんかが
色々出て来てすげえ楽しい(特に平井和正)。

SFの現状にもSFマガジンの現状にも満足するはずはなく
獅子奮迅の働きを見てるのだが、なんとも
"焦り"というか"追いつめられてる"感じが章を追うごとに
大きくなっていく印象を受けた。

それは、SFへの想い、社会からの理解の足らなさへの
焦燥だけでは説明出来ないと思った。

そして最後まで読んでその理由がわかった気がした。
未完だったのだ。最後まで書き終える事無く死んでしまったのだ。
もちろん僕の受けた印象が間違っているのかも知れない。
でも僕には彼の怒りにも似た疾走感が、
残った時間を少なくともうっすらとでも知っていたからだとしか思えない。
自分がいない世界でのSFにかける想いとは幾許のものだったろう。
自分がいない世界でのSFに馳せる想いとかどれだけのものだったろう。

僕には今、そこまでかけられるものが見つかっていない。

 
 

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未踏の時代 〜日本SFを築いた男の回想録〜/福島正実 ハヤカワ文庫JA

 

 

 

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